夏至〜夜は短し恋せよ乙女
6月22日ごろから小暑まで

北半球では一年のうちで最も昼の時間が長くなります。
最近の日の出は4時半、日の入りは夜の7時ごろ。
明るい時間が長いはずですが、梅雨空のおかげでなかなか実感できずにいる最近ですね。
体調など崩されていませんか??
短い夜に掻き立てられる…
スウェーデンの民俗学者によると、夏至を祝うミッドサマーの祝日から9ヶ月後に生まれる子供が多いとか、ギリシャ北部では未婚女性が夏至の日にいちじくの木の下に自分の持ち物を置くと、将来の夫の夢を見るとか…
世界各地に色々な風習があるそうですが…
なんと。
北半球で夏至は
性欲をかきたてられる日
だと言われています。
ほ、ほう…。
夏至は、植物にとっても人間にとっても、繁殖の季節の始まりということでしょうか。

確かに『夏の歌』には、恋の歌が多いような気がしてきました。
私にとって夏の歌といえば、aikoさんの「花火」。
大学時代、どれほどカラオケで歌ったことか。

あとはですね、渚、プール、青い車、ホタル、夏の魔物、そして朝ドラ『なつぞら』の優しいあの子…
やっぱり春夏秋冬スピッツだな…
皆さんの『夏歌』は何ですか??

そんな夏至。
みなさまぜひ、楽しんでください(笑)
七十二候
初候 乃東枯(ないとう かるる);夏枯草が枯れる
次候 菖蒲華(しょうぶ はなさく);あやめの花が咲く
末候 半夏生(はんげ しょうず);カラスビシャクが生える
夏枯草とは、ウツボグサのことです。
シソ科の植物で、紫色の花穂をつけます。

武士が弓矢を入れて背中に背負った靫(うつぼ)に似ていることから、この名がつきました。

花穂を天日干しにしたものは『夏枯草(かごそう)』と呼ばれ、利尿作用・消炎作用・収斂作用などがある生薬として用いられます。
菖蒲の見分け方
古くは、サトイモ科のショウブのことを『あやめ』と呼びましたが、
今ではハナショウブやカキツバタも『あやめ』と呼ぶようになっています。

アヤメは、5月上旬に乾燥地に咲きます。剣状の細かい葉が縦に並んでいる様子が【文目(あやめ):模様のこと】に似ていることや、外側の花びらの付け根に入る網目模様からアヤメと呼ばれるようになりました。

カキツバタは、5月中旬に日当たりの良い湿地に咲きます。古くはこの花を衣に擦り付けて染色したそうで。「書き付け花」と呼ばれ、それが訛ってカキツバタとなったそうです。

ハナショウブは、5月下旬から6月に開花します。端午の節句で菖蒲湯に使うショウブ(サトイモ科)に、葉の形が似ていることから、『ハナショウブ』と呼ばれています。(ハナショウブはアヤメ科)花弁の元に黄色い目型模様があるのが特徴です。

菖蒲湯のショウブは、この時期に美しく咲くアヤメ達とは全く別の品種なんですね。

半夏生
夏至から数えて11日目は、雑節の一つである『半夏生』と言います。
半夏生とは、サトイモ科の植物で、カラスビシャクとも呼ばれます。

塊茎は『半夏』と呼ばれる生薬になり、漢方で用いられるそうです。
痰切りやコレステロールの吸収抑制作用がありますが、乾燥させない生の状態ではシュウ酸カルシウムを多く含むため、食用にはなりません。
そんな半夏生が生えるこの時期は、畑仕事や田植えを終える時期の目安とされていました。
雑節の半夏生から5日間は、天から毒気が降るので農作業は中止。
井戸に蓋をして毒気を防いだり、この日に取った野菜は食べない、などといった慣習もあります。

半夏生の美味しいもの
関西では、半夏生の日にタコを食べるそうです。
植えた稲がタコの足のように四方八方に伸び、しっかりと根をはるように、との思いが込められています。

うどん県、香川では、農作業を手伝ってくれた方々の労をねぎらうため、その年の収穫物でうどんを作り、もてなす習慣があるそうでう。
香川県の製麺事業協同組合は、半夏生の7月2日を『うどんの日』と制定しています。

他にも、奈良はお餅、福井は鯖など、日本各地に様々な風習があります。

夏越の大祓
早いもので、一年も半分終わってしまいますね。
『祓』とは、罪や穢れを落とすための儀式で、6月の『夏越の祓』と、大晦日の『年越しの祓』があります。
夏越の祓では、多くの神社に巨大な茅の輪が設けられます。

大きな茅の輪を
『水無月の夏越の祓する人は、千歳の命、伸ぶというなり』
と唱えながら、八の字に3度くぐります。
そうすることで、半年分の汚れが祓われ、残り半年、病気や災いから免れるとされています。
神社によっては『人形(ひとがた)』に息を吹きかけるなどして、穢れを移し、納めます。神社ではそれらの人形を、神事で清めてくれたりもします。
茅の輪くぐりの風習は、日本神話に基づくものです。
蘇民将来
昔、ある兄弟のところに、一人の旅人が現れて一夜の宿を乞いました。
裕福な兄は旅人を冷たく断ります。
貧しいながらも心優しい弟の蘇民将来(そみんしょうらい)は温かく旅人をもてなしました。
数年後、旅人が恩返しにと再び蘇民を訪れます。
実はこの旅人はスサノオノミコトで、疫病から逃れられると、茅の輪を腰に付けるよう蘇民に教えます。
そのおかげで蘇民は流行りの疫病にかからず、子々孫々まで繁栄したということです。
この故事に基づき、家の玄関に「蘇民将来札」という札を貼り、厄除けにするという風習も残っています。

目にも涼しい水無月
京都では、この時期に『水無月』という和菓子をいただくそうです。

水無月は、氷を模したういろうの上に、邪気払いの小豆を乗せた三角のお菓子です。
昔宮中では、旧暦6月1日に『氷の節句』が行われていました。
冬にできた氷をこの時期まで氷室で保管しておき、その氷を口にすることで、夏の健康を祈念したそうです。
しかし庶民にはそんな贅沢はできません。
そこで、氷を模したお菓子が食べられるようになったとか。
最近は関東でも見かけるようになりました。

半年の厄を綺麗さっぱり払って、夏の恋に盛り上がって、令和元年後半戦も、楽しんでいきましょー!
では次回、小暑にて。