啓蟄〜もぞもぞもぞもぞ〜
3月6日頃から春分まで
啓は『ひらく』、蟄は『土の中で冬ごもりしている虫』の意味です。
冬ごもりを終えた虫たちが穴からもぞもぞと動き始めます。

山ではワラビやゼンマイも旬を迎えます。

野にはスミレやカタバミ、菜の花が咲き、
羽化したばかりの蝶がひらひらと舞う。
たおやかな山の峰々に、穏やかな日差しが降り注ぐ季節。
さあ、本格的に春です!

七十二候
初候 蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)
次候 桃始笑(ももはじめてわらう)
末候 菜虫化蝶(なむしちょうとなる)
蠢
『虫』と言っても、昆虫だけではありません。
蚯蚓(みみず)、蟻(あり)、蛇(へび)、蜻蛉(かげろう)、蛙(かえる)…

冬ごもりを終えた生き物が、穴から続々と地上に出てくる春の胎動。
『蠢く(うごめく=虫などがムクムクと動くこと)』
という漢字の通りですね。
虫が苦手な私は、ぞぞぞっとします(笑)
春雷
3~5月に鳴る雷のことを『春雷(しゅんらい)』と言います。
春雷の雷鳴にに驚いて、虫たちが起き出すという意味で、
『虫出しの雷』
とも言われます。

雷のことを大和言葉では「かみなり」「いなづま」と言います。
雷鳴を『神鳴り』と呼び、神々のなせる現象だと捉えていました。

また、夏から秋にかけてたくさん雷が鳴り、その雷によって稲が実ると考えられてきたため、
雷は稲の『妻(=配偶者)』であると考え、
『稲妻(いなづま)』と呼ぶようになったと言われています。
花にまつわる言葉
花が散る描写、実は花によって違うんです。

梅は「こぼれる」

菊は「舞う」

雪柳は「吹雪く」

牡丹は「くずれる」
梅が散る際に用いる「こぼれる」。
「こぼ」は擬音で、【たくさんある液体の一部が溢れること】を表します。
水も、笑顔も、色気も、花も、こぼれる。
喪失と同時に、そもそもたくさん満ちていた、という情景も表すなんて、優れた表現ですよね。
花が「開く」の同義語には、「咲く」そして「笑う」などがあります。
[咲]は本来[笑]と同じ漢字だと言われていますので、
花開くことを、[花が笑う]とも言うそうです。
こぼれたり、咲いたり、笑ったり。
春を彩る日本語は、殊の外美しいなぁと思います。

春のお彼岸
春分を挟んだ前後3日を合わせ7日間を、『彼岸』と言います。
(秋のお彼岸は秋分を挟んだ7日間です)
彼岸についてはこちらをどうぞ。
ご先祖様を供養し、思いを馳せるお彼岸。
春にいただくあんこ餅は、牡丹の花にちなんで『ぼた餅』です。


我が家は長男が、小学校の卒業式を迎えます。
春夏秋冬、全て『夏』のタンクトップで過ごした、ワイルドボーイ。
流石に卒業式は長袖ですので、彼のタンクトップ生活もあとわずか。

果たして彼は、制服生活になる4月からを耐えられるのだろうかと、
ほんとどうでもいい心配をしています。
花粉も舞い、寒暖差も大きい時期です。
ご自愛くださいませ。
では次回、春分にて。