小雪
小雪
わずかながら雪が降り始める頃/11月22日頃から大雪まで(2018年は11月22日)
小雪は、「こゆき」ではなく、「しょうせつ」と読みます。
10年くらい前、こんなCMがありました。
順調の「順」は、純粋の「純」ではありません。
小春日和は春の天気ではありません。
あなた、一度親戚の前で「若干」を「わかせん」って読みましたね。
母は恥をかきました。
~そんなとき、あの人の声が聞こえた~
『Jパネットタカタがお勧めする電子辞書!!』
買いなさい、必ず買いなさい。
…というもの。
社長のテンションと、母から息子へのため息交じりの手紙とのギャップが、とても印象に残っています。
(私はJパネットの回し者でもないし、電子辞書をお勧めしたいわけでもないです。)
CM中に出てくる「小春日和」。
意外と勘違いしていることが多い言葉なんじゃないかと思います。
大人でも、正解率は半分くらいだと聞いたことがあります。
【小春】とは旧暦10月の異称で、このころの陽気が春に似ていることから名付けられました。
今年は、今の暦で11月8日から12月6日が「旧暦10月」にあたりますので、ちょうど今ころです。
【小春日和】は、晩秋~初冬にかけて訪れる、穏やかで暖かい晴天のことを言い、冬の季語になっています。
とはいえ一説によると、11月中に訪れる【小春日和】はなんと平均5日!!
小春日和の後は曇った日々が来て、二、三日中に雨になり、寒気がきてきた風が強まり…次の小春日和まで一週間くらいかかるそうです。
逃しちゃならない、小春日和。
我が家の庭では、りんごとレンギョウが、春と勘違いして花を咲かせました。
台風などで葉が落ちたりしたあとに、暖かさが続くと起こるようです。
今年は台風での塩害がひどかったから、そのせいかもしれません。
帰り花・忘れ花・狂い咲きなどと言われ、こちらも冬の季語です。
凩(こがらし)に匂ひやつけし帰花 松尾芭蕉
寒さも増し、冬枯れの景色に咲く花の美しさもまた、格別ですね。
しかし、帰り花・忘れ花というなんとも風情のある言い回しに反しての、狂い咲き。
日本語は奥が深いです…
今回は前置きが長くなりました。
ではでは七十二候を。
初候
虹蔵不見(にじ かくれて みえず) : 虹を見かけなくなる
次候
朔風払葉(きたかぜ このはを はらう) : 北風が木の葉を払い除ける
末候
橘始黄(たちばな はじめて きばむ) : 橘の実が黄色くなり始める
今回の七十二候がらみのよもやま話は「虹」
初候である「虹蔵不見」ですが、4月の初めに訪れる二十四節気【清明】の末候「虹始見(にじはじめてあらわる)」と対になっています。
ここから春まで虹はお預け…ということになりますが、実際はそうでもないんです。
夏に比べれば、頻度も低く、なんとなく弱々しくも見える冬の虹ですが、時雨の後などにはよく見られます。
時雨についてはこちらをどうぞ。
虹という漢字、「虫編」ですね。
なぜだかご存知ですか???
実は「虫」は本来「ヘビ」のことを指しました。
(ちなみに昆虫などのムシは「蟲」でした。)
確かに「ヘビ」も「蛇」です。
ただ、「蛸(タコ)」も、「蟹(カニ)」も「蝦(エビ)」も「蛙(カエル)」も「蛞蝓(ナメクジ)」も「蛤(ハマグリ)」さえも、虫編です。
実はこれ、漢字ができた時にはまだ、生物学上の分類が発展していなかったためだそうです。
人ではなく、毛もなく(獣)、ヒレや鱗もなく(魚)、羽(鳥)もない、そのほかのよくわからないものを【虫】としたんだそうです。
(参考URL/http://www.ritsumei.ac.jp/rclub/mobile/magazine/article2.html/?id=6&no=5)
虹に話を戻しますと、大昔の人は、虹を【竜】だと思ったようです。
雨が降った後に、双頭の竜が現れて水を飲んでいる姿が、甲骨文字に残っています。
【工】には、あるものに穴を開け貫く、という意味がありますので、
虹=天を貫く蛇(竜)
ということです。
雨上がり、日が差してきたら、是非空を見上げてみてくださいね。
最後に、この時期とても大切な行事のお話。
11月23日は勤労感謝の日ですね。
しかしもともとは秋の収穫に感謝を捧げる新嘗祭の祭日でした。
天皇陛下が、五穀の申告を天神地祇(てんじんちぎ:天地の神様)にお勧めになり、また陛下ご自身もそれをお召し上がりになり、この年の収穫に感謝します。
天皇陛下が御即位ご初めての新嘗祭は、「大嘗祭(だいじょうさい)」と呼ばれます。
一世一度の大切なお祭りごとで、もっとも大切な祭祀の一つとされています。
来年4月30日、今上天皇がご譲位され、皇太子殿下が新天皇に御即位されますので、来年の大嘗祭は特別なもの。11月14、15日に行われる予定です。
日本は古来より、農耕採取を礎とした、感謝と謙虚さの民族だと思うんです。
最近では「新米」を秋の頃からいただきますが、本来は、新嘗祭にて神様に穀物を献納し、新米を備えてから初めて、人も新米をいただくものでした。
水分たっぷりで美味しい新米。
今のご時世、新嘗祭まで待てとは言いませんが、きちんと感謝してからいただけるといいですね。
では次は12月、大雪にて。