霜降~高級肉の話では、ないです。

霜降(そうこう)
太陽黄経210度 10月23・24日ころから立冬まで。
2018年は10月23日からです。
霜降は、【そうこう】と読みます。
【しもふり】じゃないです。
関係ないけど、年々霜が降ってない肉の方が美味しく感じます。
脂身を受け付けられない歳になってきた、そんな【枯れ】をも愛せる季節の話を始めます。
まずはじめに七十二候。
初候
霜始降(しもはじめてふる)
次候
霎時施(しぐれときどきふる)
末候
楓蔦黄(もみじつたきばむ)
それぞれにまつわるよもやま話。この候もよろしくおつきあいください。
初項 霜始降(しもはじめてふる)
冷気により冷やされた露が、初めて霜となって降りる頃、という意味の名です。
霜(しも)は、空気中の水蒸気が氷の結晶として積もったもので、冷え込んだ朝にガラス窓を見てみると、いろんな形の霜の結晶をみつけられたりします。
【こがらし】
冬のイメージがある【木枯らし】ですが、実は冬に入る前、霜降から立冬までに吹く寒い北風のことを言います。
こがらしは、【凩】とも書きますが、語釈には【すりこぎをいう女房言葉】ともあります。
女房言葉とは、室町時代初期から宮中などに使える女房が使い始めた言葉で、今でも結構残っていまして、語頭に「お」をつけて丁寧さを表すものや、語尾に「もじ」をつけて婉曲的な表現にするものなどがあります。(wikipediaより)
例えば、
おかか
おかき
おかず
おから
おこわ
おさつ
おでん
おむすび
おはぎ
しゃもじ
くろもじ
ひもじい
などなど。他にも、なす、へちま、くのいち、なんかも女房言葉だそうです。
さて凩に話を戻しますと、北風に葉っぱを吹き飛ばされた木々が、まるで【擂り粉木棒】のようであることから、凩は「すりこぎ」とも読むのだそうです。
漢字一文字で浮かぶ景色の多さに驚きますね。
【後の月】
またこの時期は、【後の月】とも言われる【十三夜】を迎えます。
旧暦9月13日(今年は霜降からは少しずれて10月21日です)の月のことで、中秋の名月と両方を見ないと「片月見」と言われがよ縁起がよくないとされています。
十五夜さんに比べ晴れることの多いこの時期、月は本当に綺麗です。
旬を迎えた栗や豆と13個のお団子をしつらえて、楽しんでみてはいかがでしょうか。
次候 霎時施(しぐれときどきふる)
秋冬に降ったり止んだりする短い雨のことを「時雨(しぐれ)」と呼びます。
生姜の効いた佃煮を「しぐれ煮」と言いますが、いろいろな味が口の中を通り過ぎる様子を「時雨」が降る様子に見立てたことによるとも言われています。
また、夏の季語である「蝉時雨」は、セミが一斉に鳴きたてる音を、時雨が降る音に見立てたそうです。
確かに、一斉に鳴き出したと思えば、ピタッと止んで、また鳴き始めますね。
木々の間から降り注ぐセミの声は、突如振り始める雨のようでもあります。
ちなみに蝉時雨の時期にぴったりのかき氷「しぐれ」は、練乳をかけたものです。大好物です。
末候 楓蔦黄(もみじつたきばむ)
春に初々しい緑を湛える山は【山笑う】
夏に青々とみずみずしい山は【山滴る】
冬に木々が枯れ寂しさを纏った山は【山眠る】
そしてこの時期、紅葉して彩りを増した山を【山粧う(やまよそおう)】と言います。
この時期になると、山が色鮮やかに粧うのを、今か今かと待ちわびる人も多いのではないでしょうか。
【秋の襲(かさね)】
話は少しそれますが、平安時代の高貴な姫は、大人になるとその姿を一目に晒してはいけなかったので、御簾ごしに殿方へアピールせねばなりませんでした。
そのために活躍したのが、【出衣(いだしぎぬ)】。
御簾の外に出した衣の襲色の美しさで、自己アピールしていたとか。
紅葉を表した襲の色目をいくつかご紹介します。
襲の色目とは、女房装束の袿(うちき、うちぎ)の五つ衣に用いられた色の重ね方です。
他にも、散り紅葉や赤朽葉など、多くの『紅葉色』が秋の装いとして着用されていました。
特に朽葉色は「朽葉四十八色」と言われるほど多くのバリエーションがあるそうで、どれほど愛されていたかがわかります。
木々が色づき葉を落として、季節は冬へと向かいます。
エネルギーに満ち、学志す青春、
身を立て惑わぬ朱夏、
そして天命を知り耳順う白秋、
矩を越えぬ玄冬。
青春だけじゃなく、白秋だって素敵な季節。
こってり焼肉がきつくなっても、目がかすみ始めても、素敵な季節。
季節の変わり目、体調など崩しませんよう。
くれぐれもご自愛くださいませ。
ではまた立冬で。