白露〜鶺鴒・五節句・秋の七草

白露 二十四節気 十五番 今の暦では九月八日~九月二十二日ごろ
草木に露がつき、朝夕の涼しさが、秋の訪れを実感させてくれます。
七十二候は
初候 草露白し
次候 鶺鴒鳴く(せきれいなく)
末候 玄鳥去る(つばめさる)
セキレイは尾の白い小さな鳥。長い尾を上下に降り、チチィチチィと鳴きます。
実はこの鳥、日本での歴史は古く、日本神話にも出てきます。
それによると、セキレイが尾を上下に振る様子を見て、イザナギとイザナミは契りの仕方を知った、とのこと。
そのおかげで国生みができたわけですから、なんともありがたい鳥す。
九月九日は五節句のひとつである「重陽の節句」です。
今の暦では菊の盛りには少し早いのですが、旧暦の頃は、花盛りの菊を愛でながら、長寿や豊作を祈ったと言われています。
また、重陽の節句は、「栗の節句」とも呼ばれ、旬の栗ご飯を炊き、収穫への感謝を捧げました。
五節句とは
中国唐代の暦では、奇数が重なる五節句は縁起が悪い日とされ、その日に旬の食べ物を食べ、邪気を払う風習がありました。
それが日本へ伝わり、日本古来の風習と混ざり合い、今に伝わります。
- 人日(正月七日):別名七草の節句。七草粥を食べ、無病息災や一年の豊作を祈願します。
- 上巳(三月三日):別名桃の節句。女の子の成長を願う、おひな祭りの日です。
- 端午(五月五日):別名菖蒲の節句。男の子の成長を願う、こどもの日です。
- 七夕(七月七日):「しちせき」と読みます。別名笹の節句で、短冊に願いを込め、笹に飾ります。
- 重陽(九月九日):別名菊の節句。長寿や繁栄を願います。九州北部で行われる「くんち」の由来とも言われています。
秋の七草
万葉集で、山上憶良の歌った和歌が始まりと言われています。
「秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびをり) かき数ふれば 七種(ななくさ)の花」
「萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝貌の花」
春の七草に比べ地味な扱いですが(食べられないから?)、秋を美しく彩り、薬用など実用的な草花として親しまれてきました。
萩の花:草冠に秋、まさしく秋の花です。万葉集で最も歌われる花で、古くから愛されてきました。
尾花:「すすき」のことです。動物の尻尾に似ているから、「尾花」と呼ばれています。
葛:葛餅、葛湯などと食用としても馴染み深いですが、風邪や胃腸不良に効くとされる葛根湯は、葛の根から作ります。
撫子:「大和撫子」といわれるほど、古くkらその美しさを愛でられてきた花です。
女郎花(おみなえし):あまり馴染みのない花かもしれませんが、黄色い可憐な花を咲かせます。解熱・解毒作用があるとされます。
藤袴:万葉の頃から愛された淡紫色の花で、芳香剤、薬草として親しまれてきました。準絶滅危惧種であり、残念ながら野生のものはほとんど見ることができません。
朝貌:諸説ありますが、現在では桔梗が定説です。その美しい形は、家紋としても多く用いられました。こちらも自生種は絶滅の危機に瀕しています。
食べ物も美味しく、花も美しく、空も高い。
いよいよ本格的な秋ですね。